京都周辺気まぐれ風景

京都在住。地の利をいかして神社仏閣によく撮影に出かけます。

Hasselblad の色彩について調べてみたこと

昨年10月下旬あたりからずっと多忙であった仕事が
少し落ち着いてきました。
落ち着いてくると、余計なことを考えてしまうもので。w
偶々SNSでちょっと目にして、気になったことがあったので。
以下、まあまあオタッキーな技術ネタですので、
興味の無い方はスルーして下さいませ。
HasselbladのHNCSというものがあります。
ハッセルブラッドデジタルカメラは、
その場の色をそのまま写しとることを重視していて、
それにはハッセルブラッドナチュラルカラーソリューションという
独自開発のカラーマネジメントシステムがある、と。
そんなこともあってか、ハッセルブラッドで撮った画像を、
あるべき色彩で現像出来るのは、ハッセル純正アプリである、
Phocusを使う必要がある、という人がいらっしゃいました。
ふーん、そうなんかぁ、ってことで職場のMacStudioに既に
インストールしていたPhocusを使って、自分で撮影した画像を
現像してみたりしましたが、何しろ自分には使いにくい。
職場のPCではPhotoshopを使い続けており、Adobe Camera Raw についても
初代からかれこれ20年ほど使ってきた自分にとっては、慣れ親しんだもの以外は
どうしても使いにくいのは当然です。
それでも他に優れた点や、尚且つ必要な機能があれば、別の現像ソフトでも
使ってみようか、という気になりますが、現時点でも
Adobe Camera Raw で何ら不足は感じていないのが正直なところ。
で、そもそも画像の色彩を定義づけるのは、その色空間を定義した、
ICCプロファイルであるはずなので、現像ソフトが決めるものでは無いはず、
ってことから自分のMacStudioを調べてみたら、ありました!
恐らくPhocusをインストールした際に一緒に入ったであろう、
"Hasselblad RGB.icc"というプロファイルが。
他にもいくつかHasselbladの名がついたiccプロファイルが入っています。
自分の Hasselblad X1DII で撮影したRAWを、Adobe Camera Raw で
現像する際に、このプロファイルを適応すれば、メーカーが想定した色彩に
なってくれているはずですね。
ってことで、最近撮った画像の中から彩度の高いものを選んで、
テストをしてみました。
1枚目はAdobe RGBで現像、2枚目はHasselblad RGB で現像。

もうちょっと違いが確認できることを期待しましたが、あんまり変わりません。w
よーく見ると、オレンジ色の濃いところなんか、ビミョ〜に違うかも...
いや、違わんかも、って程度です。
んじゃそもそも名の知れたプロファイルの違いによって、色空間がどう違うのか、
Mac純正のユーティリテイである、ColorSyncユーティリテイで表示してみました。

↓sRGB

Adobe RGB

↓Display P3

↓Hasselblad RGB

Hasselblad RGB の色空間は 一般的に広い色空間で知られる Adobe RGB
のそれより、明らかに広いですね。
自分が使っているモニターは、Apple Studio Display で、
Display P3の色空間をカバーしていますが、P3 と Adobe RGB を比較すると、
グリーンはP3の方がちょっと広くて、オレンジからイエローあたりは、
Adobe RGB の方がちょっと広いけど、大差はない、という印象。
プロファイルよる違いが確認出来るかどうかは、高彩度領域でのことですから、
上記テストによる違いがあったとしても、そもそもその違いを表示できる
モニターが無いやんかいさ!ってことですよね。
AdobeRGBの色空間をすっかり包み込むHasselblad RGB との違いなんて、
自分のモニター環境で表示できるわけが無い!って結論に落ち着きました。
因みに、ハッセルブラッドによると、
「博物館職員や美術品修復家のような、より広い色域を必要とするユーザー向けに、
Labカラースペースのほぼ全ての色が含まれる、Hasselblad L*RGBカラースペースも
選択できます。」とのこと。これをColorSyncユーティリティで表示すると、
下のようなえげつないことになります。こんな色空間を表示できるモニター、
いつか登場する日が来るのでしょうか...。

↓Hasselblad L*RGB