京都周辺気まぐれ風景

京都在住。地の利をいかして神社仏閣によく撮影に出かけます。

"Hasselblad"興味なし ⇒ 雲の上の存在 ⇒ 勝手な親近感に変わるまで。

そろそろ枝垂れ梅を撮りに行かねば、と考えながらも、
週末ごとに昼寝で爆睡してしまう始末で行けておりませんので、
機材ネタの続きなどを。
長文のわりに、あまり内容の無いネタですのでご注意下さい。w

"Hasselblad"

この名を知ったのは、自分がカメラを趣味として始める前の事です。
仕事柄、ビューティ系モデルを撮る人や、物撮りをメインにしている人など、
多くのプロカメラマン、フォトグラファーと関わってきました。
今から20年ほど前、プロがアナログ機材からデジタルに少しずつ移行し始めた頃、
恐らく当時は今よりも、広告カメラマンという職業は、人気が出ると結構儲かる、
そんな時代だったと思います。
人気のあるカメラマンは儲かると「設備投資」や「差別化」の名のもとに、
一般庶民が到底手にすることが出来ない高価なカメラを持っていたりしますよね。
当時はそれが、"Imacon"や"Hasselblad"であり、"Phase ONE"であり、
かなりマイナーなところでは"Scitex LEAF"であったり。
その頃は、RAWデータから現像処理をすることは、今のように一般的では
ありませんでしたし、現像ソフトもまだまだ普及していませんでした。
それはプロの間でも同じで、殆どがJPEGか、画質に拘るプロでもTIFF形式で
撮っていたものです。なんせ、Adobe Photoshopが16bit画像では
調整レイヤーによる編集が出来なかった時代です。それだけPCのスペックも
お粗末だったからでしょうね。
その頃、CやNのハイエンドプロ機がようやく1,000万画素を超えようかという頃
だと思いますが、売れっ子カメラマンの中には、ImaconやPhaseという何百万も
する機材で撮影したデータを、
どうだ!凄い画素数だろ!国産機には無いだろ!こんな素晴らしい画質は
見た事ねーだろ!と言わんばかりに(実際にはそんな事までは言ってません。w)
入稿されることがありました。
ところが当時の、とある海外製超高級な中判デジタルバックが吐き出すJPEGは、
酷いものでした。
確かに画素数だけで見れば、高画素な分、高精細と言える部分もあり、
それは高コントラストな風景写真などには、威力を発揮したと思います。
ところが、ビューティー系モデル写真となると、話は全く別でした。
そもそもJPEGというのは画像の形式である以前に、圧縮方法の形式だったわけで、
似たデータを同一とみなす事でファイル容量を小さくする非可逆圧縮形式ですね。
つまりそれを画像に置き換えると、似た明るさ、似た色は同じにしてしまうので、
トーンジャンプや階調ムラなんかが起こるわけですが、
当時のとある海外製超高級中判デジタルバックが吐き出すJPEG
どうだったかと言うと、似たデータを同一とみなすんじゃないの?
あまり似ていないデータも同一にしちゃったのか?
と言うほど、階調が失われていたり、髪の毛流れなどは、1本1本の毛流れが
途切れてしまって斑点模様が出てしまったり、というお粗末さでした。
圧縮率を高くしたJPEGならば、トーンジャンプによる画質の劣化がありますが、
上記のそれは、全く違う荒れ方でした。
こちらは画像処理をする側として、その事をカメラマンに言葉で伝え、
だからこそ画素数が少なくてもJPEG画質が優秀である、お手持ちの国産プロ機で
撮って欲しい、と伝えても簡単には納得してもらえず。
いやいや、画素数もお値段も国産ハイエンドプロ機の何倍もするカメラで
撮っているのに、そんな事があろうはずがない、となります。
そりゃそうですよね。その価格に見合う画質であることを信じて、
カメラマンとしての自分の仕事に役立て、お客様に役立て、同業他者との
差別化をはかろうと、導入している機材で撮った画質が、ろくにカメラの事を
知らない奴から否定され、安い方の国産カメラで撮った方がマシだ!
と言われても、誰が納得できようか、いや、納得したく無いですよね。
で、言葉で納得してもらえないなら、その違いを見てもらうしか無い、
ってことで、パソコンを持ってわざわざ東京まで打合せに行ったことが
ありました。画面上でその違いを見せて画面のみならず印刷物になった場合の
違いも見せ、細かく説明して、ようやく納得してもらい、国産C機で
撮ってもらったことがありました。
ここでちょっと話が脱線しますが、
画像処理だけじゃなく、カメラの勉強もしなければならない、
と思ったきっかけは、こんなことが時々あったからです。
画像処理側から撮る側に注文をつけるならば、撮る側の仕事も熟知していないと、
こちらの要望は受け入れてもらえないだろう、と思ったからでした。
で、勉強し出すと、それが趣味になるのに時間はかかりませんでしたが。w
時を戻そう!じゃなく、話を戻そう!w
仕事でそんな経緯を経験していたものですから、画質=画素数ではない事や、
機材の価格と画質は比例しない場合が多々あることは痛感しており、
その随分後になって、プライベートで写真、カメラが趣味になってからも、
海外メーカーの中判デジタル機には全く興味がありませんでした。
そう、最近までは。w
もちろん、価格面からして趣味で使う機材としては、考慮の余地さえ
全く無かったわけですが、今でも趣味ではJPEG運用が多い自分にとって、
国産機の優秀なJPEG画質で満足していました。
そうは言っても、アナログの頃からプロ御用達であったメーカーとして、
いつまでも20年前のようにJPEG画質が悪いはずは無く、当時とは違って
既にJPEGでも充分過ぎる高画質を実現している事は偶に仕事でハンドリングする
画像データから知ってはおりますし、なんと言ってもやはりレンズの性能は
昔からいいわけで、センサーサイズの余裕から来る、中判独特の立体感、
これにはたまらんものがあります。
そんな事から、昔の印象とは違って、舶来メーカー中判カメラに、
雲の上の存在のような憧れに似た印象は持っておりました。
そして近年になって、国内のセンサーメーカーが勢力を増し、
特にSONYはカメラメーカーのみならず、センサー供給メーカーとしても
有名になり、そのソニーが中判ミラーレスカメラ用センサーを供給していると。
中判カメラがミラーレス!それだけでも驚く事ですが、
センサーはなんと、我らがソニー製だと言うじゃありませんか。
そうなると断然親近感が湧くものでして(何で!?)、
そのセンサーはどんな特性で、どんな絵が得られるのか、調べてみたり、
ネット上の少ない作例を見て回ったり。
そのセンサーを搭載したカメラのメーカーは、そう、"Hasselblad"でした。
(因みに、Fujifilmにも同じソニー製中判センサーを搭載したカメラが
ありますが、Fujifilmは我々の業界では非常に幅を利かせているメーカーです
ので、趣味で使うものにこのメーカー名を取り入れたくないという感情的理由
から、ここではちょっと置いといて。w)
そうなんです。趣味で写真を撮るようになる、ずっと前から知っていた
舶来メーカーの名称。
その昔、プロがこのデジカメを持っていることを自慢した"Hasselblad"。
そう、あの"Hasselblad"です。
そんな舶来メーカーのミラーレスカメラにソニー製センサーと来たものですから、
それはもう、触ってみたい!使ってみたい!となるわけです。
16bitRAWから得られるその画質は、5,000万画素という高画素でありながら、
ダイナミックレンジやコントラスト特性に、余裕が感じられます。
α7S系のような、1ピクセルが大きい低画素機で撮ったような余裕が。
この画質はたまらんです。よだれモノです。
もちろん、そのセンサー性能に見合うレンズも素晴らしいからであり、
レンズに関しては、アナログの頃から定評があるからこその、
プロ御用達のメーカーなわけですね。
(とは言っても、Hasselblad Xマウントレンズは、Made in Japanのようですが。)
で買えもしないのに、物欲全開の現在に至るわけですね。
でも、どうやらライカのボディより安いぞ、さらにはα1より安いぞ、
なんて考えると、もっと親近感が。いやいや、一番上のものを見てから、
そのちょっと下のものを見ると、自分に近いように見えている。
これは錯覚のはずだ!
いや、錯覚と言うよりは既に病気ですね。
そんなことを考え出すと、もうほとんど頭ん中はお花畑状態です。w
緊急事態宣言延長のご時世で、食うに困る人々が沢山おられると言うのに、
自分の頭の中はお花畑状態でいいのか!?
いやいや、いいはずあらへんがな!とかね。
あぁ、めでたしめでたし。w